東京大学公衆衛生大学院の受験について② 【試験の概観】

今回はSPH受験の全体像をお伝えします。
SPH受験に関するブログはいくつかありますが、自分は内部生としての目線から書いていこうかと。
受験問題を作成している教授たちの授業も日々受けていたので、過去問を解いていても「あ、これ~教授の問題だな」というのもやんわりと分かりました。なので内部生の目線から、出題者が求めているであろう回答や、出題者である教授が授業の中で繰り返し言っていた重要点、参考書、論文などについてもゆくゆくはご紹介できればと思います。

 

さて、試験の内容について。
1次試験の筆記試験と、2次試験の面接に分かれていますが、2次で落ちることはほぼないかと思うので、1次についてのみ書いていきます。

前回のブログで、東大のSPHはしっかりと準備しておけば難しくないということを書いたのですが、それについて追記。
SPH受験の良いところは、純粋な筆記のみの試験であり、海外の大学院のようにGPA、履歴書や志望理由、これまでの研究業績は一切不問になるということです。TOEFLやIELSのような英語力の証明書も必要なし。
3万円の受験料さえ払ってしまえば、あとは筆記試験を受けるのみという大変シンプルな選考方法です。
受かるかどうかは筆記試験で点数を取れるかどうかという一点にのみかかっています。

 

ちなみに筆記試験の難易度についてですが。
自分は健康総合科学科から進学しているため、いわゆる”内部生”という括りになります。
ですので、受験前に既にSPHに所属している同級生や先輩に試験の難易度について聞いたところ、理系出身の生徒は「過去問を少し見ておけば、まず落ちない」という意見が多く、文系出身の生徒は「結構しっかり勉強した」という意見が多かった気がします。
理系の友人は、数週間、もしくはまったく準備なしで合格していた気がします。
文系の友人は2~3か月の準備期間というところでしょうか。私も、働きながらでなかなか時間を取ることができなかったので、3か月前からしっかり準備を始めました。仕事を終えて帰ってきたら毎日2,3時間くらいの勉強でしょうか。休日は丸々でした。

おそらく、文理で意見が分かれる大きな理由が疫学・統計学でしょう。
私も文系出身者で、学部時代はどにかく統計学が苦手でした・・・
統計学の試験も2年連続で不可になり、3年目にようやく追試で合格させてもらえたほどです・・・

 

 

さて、各科目の外観に移ります。

①英語
内部生が口をそろえて言うのは、「英語は簡単」ということでした。
A4で1ページから1.5ページの長文読解が4題、これを2時間で解きます。
けっこう時間はないので焦ります。
出題されるテーマとしては公衆衛生に関連するもので、確か今年は”紛争と医療”、”画像診断”、”研究デザインとバイアス”、”健康格差”についてだったような気がします。
テーマだけ見ると、分野違いの方には「うっ」とくるものがあるかもしれませんが、出題される文章は論文のようにカチカチしたものでなく、エッセイ、読み物としての英文がほとんどのように思えます。
ですので、そこまで専門性の高い英語を理解する力は求められません。

学部時代に、卒論を書くために英語文献を読み込んできた方であれば、特にストレスなくこなせるレベルだと思います。
出題される英文は公衆衛生に関するものになっておりますので、予めその分野についてある程度の知識を持っておくと、「ああ、こういうことが言いたいんだな」ということが分かり、よりスムーズに読めるようになるかと。
「じゃあそのためには何を読んだらいいの?」という意見があるかもしれませんが、それはまた各論で書いていきます。

 

②公衆衛生一般
昨年までは公衆衛生一般は40題くらい出題されたのですが、今年からは半分の20題でした。回答時間は約50分(公衆衛生一般+統計で100分与えられています)。1問あたり2.5分なので余裕です。
これまでは過去問と類似した問題が出ていたので、「過去問やっとけば大丈夫」という分野だったのですが、今年からはだいぶ出題傾向が変わっています。
罹患率や感度・特異度、疫学デザインに関する問題は過去問同様でしたが、他は所見のものばかりでした。
内容は国内の公衆衛生に関して一般的な問題から、非常にマニアックなものまで。
前者は医師国家試験のクエスチョンバンクなるものが一番出題傾向が近い気がしますが、来年からどうなっていくかは分かりません。
後者は受験者の大半が解けないと思うので、無視して良いかと思われます。

 

③統計
公衆衛生一般と合わせての試験になります。だいたい50分で20題。”英語”や”専門”に比べればずいぶん余裕があるはずです。
自分は勉強を始める前は、「ぜったい無理、統計無理。」という感じでしたが、統計の基礎的な本を何冊か読んでみると(イラストで可愛く説明してくれてるような、ほんとに基礎的なやつ)、「ん?この問題ってめっちゃ基本的なやつなんじゃね?」ということがわかってきました。

SPHのホームページでは「統計検定2級に相当する問題」と紹介されていますが、実際はそんなに難しくないです。基本的な公式を理解していれば、応用力がなくとも解けます。苦手意識を持たずに、地道に頑張ることが大切ですね。自分は統計の勉強をする以前に、微分積分がチンプンカンプンだったので、YouTubeの解説動画で勉強して、下準備をしました。
ちなみに、SPHの入試で出題される問題と、ほぼ難易度、傾向が類似した問題ばかり掲載されている参考書があるので、各論でお伝えします。

 

④専門
疫学、医学統計、予防医学、健康教育、精神保健、医療倫理、医事法、公衆衛生調査方法論、医療情報システムの9題の中から4題を選んで、1題あたり20分で解きます。

大切なのは、9題の難易度がばらばらであるということ。
「20分じゃ無理だろ?」というチンプンカンプンなものから、「常識で解けるんじゃないか?」という簡単なものまで様々です。
ですので、どの問題を解くのかをあらかじめ決めておいて、決め打ちでいくのが良いかと思われます。
”専門”は教授のクセがもろに出る科目だと思うので、予めその教授が書いた本や論文を読んでおくと、かなり回答しやすくなるかもしれません。
それはまた各論で紹介します。

 

⑤小論文
確かテーマは毎年固定で、「自らの実務経験や知識に基づいて、公衆衛生上の課題と対策について論ぜよ」だったかと思われます(少し違うかもしれませんが、大筋は一緒のはずです)。
ですので、会場では前もってA4一枚の小論文を作成しておいて、試験開始までそれを眺めている人たちも何人かいました。自分は面倒だったのでやっていませんが、何を書くかと言うことはある程度は頭のなかでは考えておきました。
おそらく、小論文の内容は1次試験の合否には関わらないかと思います(無記入とか、公衆衛生と全く関係ないとかであれば別でしょうが)。
2次試験の面接が、この小論文に基づいて展開されたという報告も聞いておりますので、そのための材料として設けているのかもしれません。

 

以上、SPH試験の概観についてでした。
次回からか各科目の各論です。
おすすめの参考書や、出題される問題の癖、出題者であろうと思われる教授の論文、著書などを紹介していきます。

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