昭和大学大学院 保健医療学研究科 地域・在宅ケア・マネジメント医療施設ケア領域専攻 2013年入学

[自己紹介]
〈名前〉
永澤成人(ながさわ なるひと)

〈現在の所属〉
東京慈恵会医科大学医学部看護学科 老年看護学 助教

〈看護学生、臨床時代のバックグラウンド〉
山形大学医学部看護学科を卒業し、
北里大学病院 内分泌代謝内科・膠原病・感染症混合内科に入職
3年間の臨床経験を経て、退職
昭和大学大学院に入学し、研究を行うとともに、訪問看護ステーションの非常勤勤務、
医療コールセンター夜勤専従を経験
大学院を修了し、現在に至る

〈メールアドレス〉
s.dk4569l0g@gmail.com
 
〈twitter名〉
@nnnsdk4569l0

 

[受験]
〈その大学院を選んだ理由〉
大学院を選んだ理由としては、「指導教授の人柄」「学費」が大きかったように思います。
大学院を選ぶにあたった経緯を以下に示したいと思います。

大学院進学を考えていたときに、山形大学時代の恩師(当時助教の男性教員の方で、実習指導や卒業研究でお世話になりました)に相談をしました。
自身が取り組みたい研究テーマ(糖尿病の予防)を伝え、5つほど大学院をピックアップくださいました。その際に、アドバイスをいただいたのが、「どの大学がいいか?」ということではなく、「どの指導教授がよいか?」ということで選択をした方がよい、とのことでした。当然のように感じるかと思いますが、自分のやりたい研究テーマと同様のテーマを持っている、もしくは、それに近いテーマを持っている教授の下で学んだ方が多くのことを学べます。

 ピックアップしてくださった5つの大学院には、このような教授がいて、どのような研究を行っているか、ということを丁寧に教えてくださいました。看護業界は横のつながりが強いです。恩師の先生もいろいろな教授の方と知り合いであり、人柄等も含めて教えてくれました。今考えると、ここまで情報をくださったのは本当に助かりました。候補を決める段階ではだいぶスムーズに進んだと思っています。大学院進学を考えていらっしゃる方はお近くにこのような方がいれくれることを願います。ですが、この記事を読んでくださっている方は、そのような方が回りにいない方も多いと思います。その場合は、何かお力になれることもあるかもしれません。お気軽にご連絡をください。

 さて、ピックアップくださった5つの大学院から候補を2つまで絞ろうと考えました。大学院のホームページや資料を確認し、「通える範囲か」「学費」「指導教授の具体的な研究テーマ」等を調べました。特に、「学費」は最優先で確認をしました。国立や私立で違うのはもちろん、私立でも大きく差があります。詳しくは後述しますので、そちらをご参照ください。

 自分で調べ、候補を2つまで絞った私は、恩師の先生に、2名の教授に連絡を取りたい旨を伝えました。ホームページを調べればメールアドレスはわかるのですが、いきなり連絡をしてよいものかわからず、ここでも恩師を頼らせてもらいました。結果、恩師の先生が2名の教授に状況を伝えてくださる等、ご尽力くださりました。そのおかげで、私が連絡をさせていただいたときには、「聞いていますよ」と快く受け入れてくださいました。そこから2名の教授に実際にアポイントメントを取り、面接をさせていただきました。

 面接では、自身の研究テーマを話させていただきました。そこで2名の先生からの返答と実際にお話しさせていただいた教授の印象を大学院選択の決め手としました。1名の教授からは「私の研究テーマとも近いし、お力になれると思いますよ」とご回答くださり、もう1名の教授は私の研究テーマには明言を避けられました。私の研究テーマに触れなかったからどうこうというわけではありませんが、自分の考えを尊重してくださったのが嬉しく、また、教授の考えにも触れ、この方の下で学んでみたいと思いました。このような経緯で、昭和大学大学院への入学を決めました。

〈試験内容〉
口頭試問:
面接のような内容でした。事前に研究テーマを決められたフォーマットで提出をしており、その内容に関する質問が多かったです。
試験管は、2名で内1名は事前面接をさせていただいた教授の先生だったので、緊張はそれほどせずに済みました。

筆記試験:
①英語:試験時間は60分。電子辞書の持ち込み可でした。長文2問と、その他記述や穴埋め等、電子辞書があっても、なかなか大変なボリュームでした。
②小論文:試験時間は60分。医療に関する社会問題についてのテーマでした。

〈受験の時に苦労したこと〉
まずは、やはり大学院進学のため、退職をする、ということを伝えるのに苦労をしました。そのやりとりについての詳細は後述します。
 
勤務先には退職に関して難を示されましたが、家族からは退職することに関して特に何も言われませんでした。独り身なので養う人もいませんし、病院に入職当初から大学院進学を考えて貯金をしていたので、学費等で両親を頼る必要もありませんでした。そのっような状況で、両親は「自分のやりたいことをやればいい」と言ってくれていたので、家族のことは気にする必要はありませんでした。そのあたりはご家族をお持ちの方よりは、気軽に進学を決意できたと思います。

また、受験勉強にも苦労をしました。受験を決めてから約半年間受験勉強に取り組み、重点的に英語に時間を割きました。むしろ、英語の勉強しかしておらず、小論文には比較的自信があったので、そちらの対策は最後まで行いませんでした。
英語に関しては、休みの日はなるべく勉強に取り組むようにしました。具体的には、医療英語の問題集を1冊解きました(使った問題集はこちらですhttps://www.amazon.co.jp/dp/4758304114/?coliid=I48TLF1OCF3SD&colid=2TWN73G6R4S0Y&psc=0&ref_=lv_ov_lig_dp_it)。問題集の問題を解くだけでなく、長文は全訳するようにしていました。
大学2年生~臨床3年目までまともに英語に触れていませんでしたので、勘を取り戻すのに時間がかかりました。結果、試験は満足に解けた感触はありませんでした。入学後、教授からは点数は取れていた(点数が取れず落ちてしまった方もいたみたいです)、と言ってもらいましたが、当時はもっと勉強しておけばよかったと後悔していました。臨床で働いていると、英語には意識しないと触れられないと思いますので、意識的に日常で英語に触れておくことを強くお勧めします。

 

[入学]
〈退職に至る経緯〉
私の場合は、入職当時からいずれは大学院に進学したい旨を師長には話していましたが、具体的なタイミングは考えていませんでした。具体的に大学院への進学を決意したのは、臨床2年目の3月です。その時点で、同年9月にある入学試験を受けようと決めました。6月に師長との面接があり、その場で大学院へ進学したい旨と、そのため退職したいことを伝えました。大学院進学への理解はしてくださったのですが、「退職しなくても、働きながら通うこともできるのでは?」「せっかくここまで成長したのだからもったいない。」とやはり退職には難色を示されてしまいました。実際その通りで、臨床勤務を続けながら大学院に通っている人はたくさんいます。「授業等問題なく通えるように配慮するよ」とありがたいお言葉をかけていただきましたが、当時の病棟は非常に忙しく、配慮をしてもらったとしても、満足に学業に取り組めるか不安でした。私は進学するなら片手間になりたくなく、「学業優先」ということを念頭にしていましたし、大学院で取り組みたい研究テーマが、院外での部分(口述しますが糖尿病の予防)でしたので、師長の説得には応じず、退職をすることにしました。私自身、決めると意思は固い方ですし、感情的になることはなく、冷静に論理的に話せるタイプだったので、説得しても無駄だと早期に思ってもらえたのかもしれません。

資金に関しては、丸3年間の勤務でしたので、退職金が出ました。給料1ヶ月分ほどでしたが、生活の足しにはなりますので、もらえるようであればもらっておくのがよいかと思います。また、上記で少し触れましたが、入職当初より大学院進学のために、積立貯金を行っていました。自分でもびっくりなのですが、月に8万円の積み立てという強気の設定で、3年間生活をしました。そのおかげで、3年という短い勤務期間でしたが、入学金や授業料を払えるだけの蓄えはありました。

〈入学前に準備したこと〉
入学前に準備したことは、まずは大学院に通うための環境を整えました。病院は退職したので、現在の住まいに固執する必要はありませんでした。大学院に通うのが苦にならないように、大学の近くに引っ越しをしました。

 また、退職をしましたので、アルバイトを探しました。具体的には、訪問看護と医療コールセンターに従事することになるのですが、学業優先で勤務の都合がつきやすいアルバイトを探しました。

さらに、大学院進学の相談に乗ってくださった恩師の先生に入学が決まったことを報告し、大学院生活のアドバイスをもらいました(単位は1年目のうちに取ってしまった方がよい、等)。

 

[大学院生活]
〈授業、実習の様子〉
授業は学士と違い、自分たちでプレゼンをし、ディスカッションをする、という形式がほとんどでした。人数も少ないので、全員で意見を言い合います。また、指導教授が担当する学部生の授業にもサポートとして入っていました。それも私たちのプレゼン能力を鍛えるための授業でした。授業は、決められた単位数を確保するために、自分自身で履修科目を選択します。ですので、2年間で万遍なく履修をすることも可能ですし、私の場合は、1年目で単位を取りきれるよう履修を工夫しました。ですので、週に3~4日は授業があり、資料作成など夜中に及ぶこともありました。中には私しか履修希望をしていない科目があり、1人だと開講できないと言われましたが、興味のある科目だったので頭を下げてお願いをしました。ですが、中には指導する教員がいなく開講できないという科目もあり、残念でした。

 私が昭和大学大学院で学ぶ中で、すごく良かったと思う点があります。それは、「保健医療学研究科」という研究科であるため、看護師に限らず、理学療法士、作業療法士、薬剤師、等コメディカルの人たちと同級生になれたことです。今までは、看護の世界しか見ることができていませんでしたが、各専門職の方たちと授業でディスカッションができたことで、様々な視点を学ぶことができました。

〈家庭との両立のコツ〉
私は独身ですので、家庭に関する事で困ったことは特にありませんでした。生活というところでみると、お金のやりくりを1番気にしていました。学業を優先したく退職をしたので、大学院ではアルバイトをしながら生計を立てていました。
 以下に、大学院時代の収入源を記載します。

1年目:訪問看護(週2~3日)10~12万円/月
    大学からの奨学金5万円/月
    病院勤務時代の貯金
2年目:訪問看護(週1~2日)5~7万円/月
    医療コールセンター(夜勤11回/月)39万円/円
    大学からの奨学金5万円/月

ご覧いただくとわかるかと思いますが、1年目はかなり大変な生活ではありました。1年目で単位を取り終えると、あとは研究だけとなるので、2年目には夜勤専従の仕事を入れました。私は夜型だったこともあり、夜勤の生活にはすぐに慣れました。給料が高いこともあって、徐々に訪問看護の仕事はセーブし、研究に取り組みました。2年目は金銭面での心配はなく、研究に集中して取り組めました。

〈大学院にかかる費用と、そのやり繰りのコツ〉
 昭和大学大学院保健医療学研究科でかかる費用としては、以下の通りです。
 
入学費:10万円
授業料(年額):40万円
実習費(年額):10万円
施設費:10万円 ※学部卒の場合は免除

合計70万円です。入学費と施設費は初年度のみなので、2年目は50万円となります。私立大学の中では、かなりの破格だと思います。また、それだけでなく「昭和大学大学院奨学金」という制度があり、返還義務のない奨学金があります。先述してありますが、こちらは5万円/月の支給で、1年次60万円、2年次50万円の給付があります。結果として、授業料等の諸経費はほとんどかかっていません。

その他、大学までの交通費や研究費(私の場合は、質問紙等の印刷代)、は自費としてかかります。

やり繰りのコツとしては、大学の福利厚生は大いに活用しました。図書館での文献検索(電子論文が充実しています)、や蔵書を使った勉強はもちろん、統計ソフトも大学で無料のものを公開していましたので、そちらをインストールし、自身の研究で分析に使用しました。大学院によって程度の差はあれど、サポート体制は充実していると思いますので、事前にもしくは入学後すぐに調べておくことをおすすめします。

〈卒後の進路〉
自己紹介にもある通り、大学院修了後、大学の助教として着任しました。教員として働きたい気持ちがあり、研究の目途が立った2年目の12月くらいから本格的に進路を探し始めました。いくつかの大学の公募を眺めていたところ、指導教授から「知り合いの先生が、教員を探しているのだがどうか?」と連絡がありました。私は二つ返事で希望を伝え、次の日には面接に向かっていました。事前に指導教授が私のことを話してくださっていたようで、スムーズに面接は進みました。私の教育や研究への思いを熱心に聞いてくださり非常に嬉しかったのを覚えています。指導教授から連絡があったのがクリスマスイブ、面接に行ったのがクリスマスでした。私にとっては、非常にありがたいプレゼントとなりました。

 私のように、大学院終了後は教員を目指される方もいらっしゃるのではないかと思います。そのような方々に、そんなに気にすることではないと思いますが、一点だけ書き示しておきます。私は大学院を卒業し「保健医療学修士」という学位を取得しました。大学によりますが、「看護学修士」という学位を取得できるところが多いのではないかと思います。
今現在はほとんどないと思うのですが、教員になる際に「看護学」の学位であるかどうか、というのを気にされる大学もあるようです。「看護学」でないからダメ、ということはないとは思いますが。

 

[あなたの研究、実習の様子]
私の修士研究のテーマは、「検体測定室の可能性 ~糖尿病予防の契機となるか~」というものです。ここでは詳細は割愛しますが、大学院入学時に考えていたテーマから、具体的な目的に落とし込み、実現可能な方法を考える必要がありました。

1年目に授業と並行しながら、文献レビューから始まり研究計画を練っていきます。指導教授とのやりとりを重ねながら、少しずつ形にしていきました。指導教授とのやりとりだけでなく、ゼミや研究発表会の中で他の教員、院生からアドバイスをもらいブラッシュアップを重ねました。

研究計画書が完成し、倫理審査に通します。倫理審査を通ったのが1年目の年明け2月でした。審査は一度では通らず、二度目の審査時に委員会による口頭試問を得て、審査を通過しました。

審査通過後に正式に研究依頼を行い、実施となりました。当初は十分な時間が確保できると思ったのですが、研究実施を避けた方がよい期間があり、データ収集を開始できたのは2年目の10月でした。12月いっぱいをデータ収集とし、お正月返上で分析、論文執筆を行いました。1月中旬に論文提出、1月末に論文審査、口頭試問、3月初旬に最終論文提出と最後は集中的に駆け抜けました。

 

[大学院を目指す看護師に一言]
大学院への進学を考える上で、大学時代の恩師の存在がなくては、自分に合った大学院を見つけたり、事前面接に行ったりということはここまでスムーズにいかなかったと思います。私が非常にラッキーだっただけで、そのような方が周りにいる人ばかりではないと思います。そのような方々に何か1つでもお役に立てれば、と思い、この記事を書かせていただきました。

当時の私は、大学院に行って研究をしたい、という思いだけで突っ走っていました。先生方へのメールや電話連絡の作法もわかっていませんでしたし、英語も出来ない、加えて研究テーマも、研究と呼ぶにはお粗末すぎる内容でした。それでも、大学院に入学し、今現在、ここまで成長することが出来ました。
 自分で言うのもなんですが、お作法や英語力、研究手法への深い理解、などは大学院に入学してから十分に身につけることが出来ます。まずは、大学院に行って学びたい、という熱量が大前提だと思います。ぜひ、一歩踏み出してみてください。
 
ここには詳細に記せなかったこともありますし、現在教員という立場で多くの大学の先生と関わることができておりますので、何かありましたらお気軽にご連絡をください。

最後に、今回このような貴重な機会をくださいました廣瀬様に、心から感謝申し上げます。

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