電子タバコと心筋梗塞の関連 横断研究

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

論文の概要

論文

Association Between Electronic Cigarette Use and Myocardial Infraction

Am J Prev Med. 2018 Oct;55(4):455-461. doi: 10.1016/j.amepre.2018.05.004. Epub 2018 Aug 22.

 

Research question

電子タバコの使用は心筋梗塞の発症リスクを増加させるか?

 

PECO

P:米国の登録世帯からランダムサンプリングされた18歳以上の者(n=36,697 in 2014, n=33,028 in 2016)

E:E-cigaretteの使用(一度もない、以前使用、たまに、毎日)

C:E-cigaretteの使用(一度もない、以前使用、たまに、毎日)

O:急性心筋梗塞の発症

 

 

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Abstract

Introduction

電子タバコは従来のタバコよりも低リスクな代用品としてその使用が促進されつつあり、より普及しつつある。しかしながら、実験的及び臨床的エビデンスからは電子タバコの使用が心筋梗塞のリスクを上げることが示唆されている。

 

Method

2014年(n=36,697)および2016年(n=33,028)のNational Health Interbiew Surveyを使用し、電子タバコの使用(使用経験なし、過去に仕様、たまに、毎日)、タバコの使用、心筋梗塞の発症についてcross sectional studyを行なった。

多変量解析を行い、変数としては年齢、性別、BMI、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を調整している。

 

Result

電子タバコの毎日の使用は心筋梗塞発症のオッズを独立して増加させた(OR 1.79, 95% CI: 1.20-2,66, P=0.004)。従来の喫煙も同様である(OR 2.72, 95%CI: 2.29-3.24, P<0.001)。

過去もしくはたまに使用される電子タバコは心筋梗塞発症のオッズ比を増加させていなかった(P=0.608 and P=0.392)。

一方、過去もしくはたまに使用される従来の喫煙は心筋梗塞発症のオッズ比を増加させていた(OR=1.70, P<0.001, OR=2.36, P<0.001)。

他に心筋梗塞発症のオッズ比を増加させた因子としては、高血圧の既往歴(OR=1.77, P<0.001)、年齢(OR=1.65 per 10 years, P<0.001)があり、女性であることはオッズ比を低下させていた(OR=0.47, P<0.001)。

 

Conclusion

従来の喫煙法や他のリスクファクターを調整した後でも、連日の電子タバコの使用は心筋梗塞のオッズ比の増加と関連していた。

 

 

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感想

Cross sectional studyのため、従来のタバコ使用、電子タバコ使用、心筋梗塞の間の時間的前後関係が不明であるという点が大きなLimitationとして考えられる。

電子タバコは喫煙の代替療法として提案されているため、「過去に喫煙→電子タバコ」という時間的関係が起こりうると考えられるが、例えば「過去に喫煙をしていたが、心筋梗塞を起こしたために禁煙に思い至り、代わりに電子タバコを吸うようになった」というストーリーがあるかもしれない。この場合、電子タバコ使用と心筋梗塞の発症の間には因果の逆転が起こっており、「電子タバコを使用すると心筋梗塞リスクが上がる」とは言えなくなる。

従来の喫煙が心筋梗塞発症に与える影響を取り除くために、筆者たちは多変量解析の変数に従来の喫煙歴を入れたのだと思うが、従来の喫煙歴と電子タバコ使用歴には強い相関があると考えられるため、多重共線性の問題が起こりうるのではないか(有料本文中の記載のため詳しくは書けないが、この問題についても筆者たちなりに対処しているが)?

より丁寧な解析をするのであれば、過去の喫煙歴ごとに対象をサブグループ化して、過去の喫煙歴を同一に揃えたうえで電子タバコの使用歴が心筋梗塞発症にどう関連しているかを調査するという方法があったのではないだろうか。

 

次に、NHISは自記式アンケートであるため、recall biasが働くというリスクがある。例えば、心筋梗塞を発症した人は自身の電子タバコ使用歴を思い出しやすいため、電子タバコ使用歴と心筋梗塞の発症には実際には関連がなかったとしても、解析上はあるように見えてしまうという問題が起こっていたかもしれない。

 

また、本研究は生存者を対象としており、心筋梗塞のような致死性の高い疾患をアウトカムとした場合は、死亡者が脱落してしまうというcompeting riskが生じうる。仮に電子タバコの使用が心筋梗塞の発症リスクを増加させていたとすると、心筋梗塞による死亡者は解析から脱落しているため、電子タバコのリスクを過小評価しているということになる。

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