ピーナッツアレルギーのハイリスク乳児におけるピーナッツ消費のRCT

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

論文の概要

論文

Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy

N Engl J Med. 2015 Feb 26;372(9):803-13. doi: 10.1056/NEJMoa1414850. Epub 2015 Feb 23.

 

Research question

ピーナッツアレルギーのハイリスク乳児においてアレルギーの発症を防ぐためには、早期にピーナッツに暴露することとピーナッツの摂取を防ぐこと、どちらが有効か?

 

PECO

P:重度湿疹もしくは卵アレルギー(もしくはその両方)のある640人の乳児

E:生後60か月までのピーナッツ消費

C:生後60か月までのピーナッツ非消費

O:生後60か月時点でのピーナッツアレルギーの有無

 

 

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Abstract

Introduction

西洋における小児のピーナッツアレルギー有病割合は過去10年で2倍になった。そして、ピーナッツアレルギーはアフリカやアジアにおいても顕著になりつつある。我々は、ピーナッツアレルギーのハイリスク乳児のピーナッツアレルギー発症を防ぐ際に、ピーナッツを摂取することとしないこと、どちらの戦略が最も有効であるかを調査した。

 

Method

重度湿疹もしくは卵アレルギー(もしくはその両方)のある640人の乳児に対してランダム化割り付けを行った。割り付けられた介入は、生後60か月までにピーナッツを摂取、非摂取の2群である。

割り付け前にskin-prick testを行うことで各対象者のピーナッツエキスへの感度を調べ、その感度に応じて複数のコホートを作成した。一つは膨疹を起こさなかったコホートであり、もう一つは直径1-4mmの膨疹を起こしたコホートである。主たるアウトカムは生後60か月時点でのピーナッツアレルギーの発症とした。

 

Result

skin-prick testで膨疹を起こさなかった530人の乳児において(ITT解析)、生後60か月時点でのピーナッツアレルギー有病割合は、ピーナッツ非摂取群で13.7%、摂取群で1.9%であった(P<0.001)。

skin-prick testで膨疹を起こした98人の乳児において(ITT解析)、生後60か月時点でのピーナッツアレルギー有病割合は、ピーナッツ非摂取群で35.3%、摂取群で10.6%であった(P=0.004)。

重大な副作用の発生割合には両群での有意差はなかった。

ピーナッツ摂取群においてはピーナッツ特有のIgG4抗体が非常に多く産生され、非摂取群の参加者の多くにおいてピーナッツ特有のIgE抗体価の上昇が観察された。

skin-prick testにおいて大きな膨疹ができたこと、そしてIgG4:IgE比が低かったことは、ピーナッツアレルギーの発症に関連していた。

 

Conclusion

ピーナッツアレルギーのハイリスク乳児において、早期にピーナッツの摂取を行うことは、ピーナッツアレルギーの発生を有意に低下させ、またピーナッツへの免疫反応を抑制させた。

 

 

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感想

本研究は、「DRAZEN’S DOZEN: ARTICLES THAT CHANGED PRACTICE SINCE 2000」といい、NEJMのEditor-in-chiefであるDRAZEN氏が19年間の編集経験で出会った4000編の論文のうち、「臨床を変え」、「人々の命を救った」と判断した12編の論文集のうちの1編である。

解析において、ITT、Pre-protocplの双方を適用し、さらにMissingに対してworst case imputation(仮説に反する結果が生まれる方向に欠損が生まれたと仮定し、欠損を補完する)を行っており、頑健である印象を受けた。

介入割り付けのアドヒアランスは92.0%と高い(92.0%が最初に割り付けられた介入を60か月守り通した)。ピーナッツ摂取という研究者ではなく両親にコントロールが委ねられた介入においてこのような高いアドヒアランスが守られた背景には、研究者による両親への強い動機づけ、定期的なコミュニケーションなど、並々ならぬ研究者の努力が伺え、感銘を受けた。

アウトカム測定においてはやや不明点が残る。ピーナッツアレルギーがないだろうと判断された617名においてはoral food challengeによりピーナッツアレルギーの有無が測定されたと書いてあるが、この際のブラインドの有無、アレルギー発生の定義などが分からなかった(私が見落としているだけかもしれない)。
次項のimmune markerにおいて膨疹の大きさ、IgGやIgEの測定について記載があるが、これがアレルギー発生の定義について述べた項目か?

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