副流煙と乳歯う歯の関連 後ろ向きコホート研究

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

研究の概要

論文

Secondhand smoke and incidence of dental caries in deciduous teeth among children in Japan: population based retrospective cohort study

BMJ. 2015 Nov 6;351:h6009. doi: 10.1136/bmj.h6009

 

 

Research question

妊娠中の喫煙および出生4か月時点での乳児の副流煙への暴露はう歯のリスクを増加させるか?

 

 

PECO

P:2004年から2010年の間に神戸市に生まれ、出生後健診を受けてきた76920人の乳児

E:妊娠中の喫煙および出生4か月時点での副流煙への暴露あり

C:なし

O:少なくとも1本の乳歯におけるう歯、喪失歯、充填歯の発生

 

 

Abstract

Introduction

妊娠中の喫煙および出生4か月時点での乳児の副流煙への暴露はう歯のリスクを増加させるか?

 

Method

2004年から2010年に神戸市に生まれ、乳幼児健診を受け(出生時、4, 9, 18カ月および3年時点)、4か月時点での家庭の喫煙状況のデータがあり、18カ月および3年時点での歯科検診のデータがある76920人の乳児を対象に、population basedな後ろ向きコホート研究を行った。

妊娠中の喫煙および4か月時点での副流煙への暴露は標準化された親への質問紙によって調査されている。

主たるアウトカムは少なくとも1本の乳歯におけるう歯、喪失歯、充填歯の発生とし、これらはレントゲン写真なしで歯科医により診断された。

傾向スコアにより臨床および生活習慣上の背景を調整した後、コックス回帰を用いて副流煙に暴露することのハザード比を測定している。

 

Result

76920人の乳児のうち、家庭内喫煙が行われていたのは55.3%(n=42525人)であり、さらに6.8%(n=5268人)が副流煙に暴露した経験があった。計12729歯のう歯が発生し、最も多かったのがう歯であった(アウトカムとしたう歯、喪失歯、充填歯のうちで)。3年間のfollow-up rateは91.9%である。

3歳時点でのう歯のリスクが、家庭に喫煙者がいない場合で14.0%、喫煙者はいるが乳児の前で喫煙されていない場合で20.0%、たばこへの暴露があった場合で27.6%であった。

家庭に喫煙者がいない場合と比較して傾向スコア調整後ハザード比は、喫煙者はいるが乳児の前で喫煙されていない場合で1.46(95%CI 1.40-1.52)、たばこへの暴露があった場合で2.14(95%CI 1.99-2.29)である。

妊娠中の喫煙と家庭に喫煙者がいない群での傾向スコア調整後ハザード比は1.10(95%CI 0.97-1.25)である。

 

Conclusion

出生4か月時点での副流煙への暴露は約2倍のう歯リスク増加と関連していた。また、家庭内喫煙があることでもリスクは1.5倍に増加していた。一方、妊娠中の喫煙の効果は統計学的に有意ではなかった。

 

 

感想

日本の医療大規模データベースを用いた研究がBMJに掲載されたということで、「どんなものなのだろう」と関心を持った。うちの研究室の先輩方の論文も各分野のリーディングジャーナルに掲載された例も少なくなく、RCTでなく観察研究であっても、意義深いリサーチクエスチョンと充分に吟味された研究デザイン・統計手法を用いればリーディングジャーナルに掲載されるのだと夢を感じる。

本文が有料のため詳細な記述はできないが、社会疫学系の研究は臨床疫学研究に比べて考慮すべき交絡因子が多く(親の教育歴、年収など)、かつそれらの測定は疾病重症度などの臨床指標に比べて困難が大きいイメージであり、個人的には踏み込みがたいなと感じる専門分野である。

 

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