2型糖尿病のリスク因子としての交代制夜勤と不健康な生活習慣の関連

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

研究の概要

論文

Rotating night shift work and adherence to unhealthy lifestyle in predicting risk of type 2 diabetes: Results from two large US cohorts of female nurses

BMJ. 2018 Nov 21;363:k4641. doi: 10.1136/bmj.k4641

 

Research question

2型糖尿病発症における夜勤に暴露した年数と不健康な生活習慣のjoin associationはどのようなものか?

 

PECO

P:Nurses’s Health StudyとNurses’s Health Study Ⅱに登録された看護師

E:月3回以上の夜勤年数と不健康な生活習慣

O:月3回以上の夜勤年数と不健康な生活習慣

O:2型糖尿病の発症

 

 

Abstract

Introduction

交代制夜勤の経験年数と生活習慣のjoint associationと2型糖尿病発症のリスクとの関連を前向きに評価し、さらにその関連のうち、夜勤によるもの、生活習慣によるもの、交互作用によるものを量的に分解して明らかにする。

 

Method

Nurses’ Health StudyとNurses’ Health Study Ⅱの参加看護師143410人を対象にした前向きコホート研究。登録時点で2型糖尿病、循環器疾患、がんに罹患している者は除外している。

交代制夜勤は、日勤に加えて月3回以上の夜勤を行なった場合に暴露ありと定義した。不健康な生活習慣は、現在喫煙、moderate to vigorous intensityで日に30分以上の運動、AHEI socreで下3/5の食習慣、BMI25以上とした。

2型糖尿病の発症は自己申告及び妥当性の証明された質問紙により定義した。

 

Result

22-24年の追跡期間で、10915例の2型糖尿病が発症した。多変量解析の結果、2型糖尿病発症のハザード比は夜勤経験年数が5年延びるごとにHR 1.31 (95%CI 1.19-1.44)、不健康な生活習慣があるとHR 2.30 (95%CI 1.88-2.83)となった。二つ暴露のjoin associationは加法的交互作用においてHR 2.83 (95%CI 2.15-3.73)である(P for interaction < 0.001)。Join interactionを要素別に分解すると、交代制夜勤が17.1% (14.9% to 20.8%)、不健康な生活習慣が71.2% (66.9% to 75.8%)、加法的交互作用が11.3% (7.3% to 17.3%)であった。

 

Conclusion

女性看護師において、交代制夜勤および不健康な生活習慣はどちらも2型糖尿病の発症リスクの増加に関連していた。

交代制夜勤が不健康な生活習慣と組み合わされることでのexcess riskは、それぞれのリスクを単に足しただけの時よりも高かった。これらの結果から、2型糖尿病のほとんどは健康的な生活習慣をおくることで予防でき、その効果は夜勤をしている労働者においてさらに大きくなるということが分かる。

 

 

感想

交互作用に着目した論文を読みたく、これを取り上げた。

研究の背景としては、「夜勤と2型糖尿病の発症」、「不健康な生活習慣と2型糖尿病の発症」それぞれについては既に先行研究が充分に蓄積されており、その掛け算効果をみたかったということがある。

「いつ交互作用項を解析に加えるべきか」ということは、コロ助氏のブログに詳しいが、今回の考察で「不健康な生活習慣を送っている者のうち、夜勤経験者で得にリスクが大きい」と記述されていたのは、まさにコロ助氏がブログで述べていた「限られた資源で介入すべきサブグループを同定したい」場合に当たるだろう。

 

交互作用の話とは異なるが、本研究では暴露とアウトカムのみならず、共変量それぞれに対して測定方法の妥当性の先行研究がきちんと紹介されており、さすがBMJに掲載される論文だなと感動した。

また、入念に感度分析を行い、さらに解析手法自体も複数を試し、そのうえで結果の傾向が変わらないということが報告されており、methodの丁寧さが際立っていた。

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