執刀医の性別・年齢と高齢患者の術後死亡率の関連 後ろ向きコホート研究

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

論文の概要

論文

Age and sex of surgeons and mortality of older surgical patients: observational study

BMJ. 2018 Apr 25;361:k1343. doi: 10.1136/bmj.k1343.

 

Research question

執刀医の年齢・性別によって患者の死亡率は異なるか?

 

PECO

P:2011年~2014年においてメディケア受給者のうち65歳~99歳で20種の非予定手術のうちどれかを受けた患者892,187人。

E:執刀医の性別・年齢

C:執刀医の性別・年齢

O:術後死亡率

 

 

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Abstract

Introduction

本研究の目的は外科医の年齢・性別により患者死亡率が異なるかどうかを調査することである。

 

Method

アメリカの急性期病院をsettingに、2011年~2014年においてメディケア受給者のうち65歳~99歳で20種の非予定手術のうちどれかを受けた患者を対象とした。主たるアウトカムは術後死亡率であり、これは入院中もしくは術後30日以内死亡で定義される。術後死亡率を求めるうえで患者、執刀医、病院の背景を調整した。

 

Result

45,826人の執刀医により手術を受けた892,187人の患者が包含された。患者死亡率は若い執刀医より、高齢の執刀医においてより低かった。執刀医の年齢が40歳以下、40-49歳、50-59歳、60歳以上それぞれの群において、患者死亡率は6.6% (95%CI 6.5-6.7%)、6.5% (95%CI 6.4-6.6%)、6.4% (95%CI 6.3-6.5%)、6.3% (95%CI 6.2-6.5%)であった。男性執刀医と女性執刀医において調整済み術後死亡率が異なるというエビデンスは示されなかった(女性執刀医:術後死亡率6.3%, 男性執刀医:術後死亡率6.5%、OR 0.97, 95%CI 0.93-1.01)。執刀医の性別で層別化したところ、どちらの性別においても年齢が上がるとともに患者死亡率は低下していた(60歳以上の女性執刀医を除く)。患者死亡率は50歳台の女性執刀医において最も低かった。

 

Conclusion

アメリカのメディケア受給者のナショナルデータを使い、本研究は高齢の執刀医の手術を受けた患者の死亡率は、若い執刀医の手術を受けた患者のそれよりも低いということを示した。執刀医の性別では術後死亡率に差はなかった。

 

 

感想

UCLA医療政策学部の助教でいらっしゃる津川先生の論文。私もいずれ看護師の属性が患者のhealth outcomeに与える影響を明らかにしたいという気持ちがあり、そのうえで参考になるに違いないというモチベーションで読ませて頂いた1本である。論文はシンプルかつ丁寧に記述されており、アカデミックライティングという点でも大変参考になった。

統計解析が非常に細やかに行われていた印象で、「仮説に応じてデータ収集するのでなく、既存データを用いて仮説を証明する」という観察研究の弱点をカバーするため、複数の仮説を用意し、それぞれに対応した統計解析を行っていた。特に、exposureである執刀医の年齢の扱い方が印象的であった。年齢と死亡率の関連だけでも3つの仮説を設定し、それぞれに応じた解析手法を使用している。

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