大麻の使用がヨーロッパにおける精神疾患の発生分布にどう影響しているか multicentre case-control study

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

なお、本研究はTwitterを介して今村先生(@nutrepi, ケンブリッジ大学栄養疫学)よりご紹介頂いたものです。日頃よりTwitterを介し、疫学に関する私の疑問に的確なご回答を下さり、心より感謝しております。この場をお借りして改めてお礼を申し上げたいと思います。

 

論文の概要

論文

The contribution of cannabis use to variation in the incidence of psychotic disorder across Europe (EU-GEI): a multicentre case-control study

Lancet Psychiatry. 2019 May;6(5):427-436. doi: 10.1016/S2215-0366(19)30048-3. Epub 2019 Mar 19.

 

Research question

大麻の使用は精神疾患の罹患にどれほど強く関連しているか

 

PECO

P:2010年から2015年において、イギリス、フランス、オランダ、イタリア、スペインおよびブラジルの17地域において、first episodeの精神疾患のためにメンタルヘルスサービスを使用した18歳から64歳の者。

 

 

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Abstract

Introduction

大麻の使用は後の精神疾患の発症リスクの増加を関連しているが、因果関係は明らかでない。我々は、ヨーロッパ全土を対象として、精神鹿間の発症オッズに最も強く影響する大麻の使用パターンを特定することを目的とした。また、そのようなパターンの違いが精神疾患の発症率の傾向に影響しているかを調査する。

 

Method

我々は、ヨーロッパおよびブラジルの11か所において精神疾患のfirst eposodeでメンタルヘルスサービスを利用した18~64歳の者を対象とした。さらに、コントロールとしては各地域の住民の代表サンプルをリクルートしている。調整済みロジスティック回帰を用いて、どの大麻使用パターンが最も精神疾患のオッズ比を増加させるかを調査した。ヨーロッパ全土および各国のデータから、各地で使用可能な大麻のTHC濃度の情報を取得し、大麻の種類を以下の2種類に分けた。低濃度(THC < 10%)および高濃度(THC >= 10%)である。因果関係を想定し、精神疾患のオッズ比を最も増加させる大麻使用パターンにおいて大麻使用に関する人口寄与危険割合を算出し、さらにそのようなパターンと精神疾患発症率の相関を各調査地ごとに算出した。

 

Result

2010年5月1日から2015年4月1日までで、11地域から精神疾患のfirst episodeがある901人の患者と、1237人のコントロールのデータを得た。日々の大麻使用は未使用と比べて精神疾患のオッズ比の増加と関連しており(OR 3.2, 95%CI 2.2-4.1)、高濃度大麻を連日使用した場合にはオッズ比は5倍近く増加していた(OR 4.8, 95%CI 2.5-6.3)。人口寄与危険割合からは、もし高濃度大麻が使用不可能になれば、first episodeの精神疾患の内の12.2%(95%CI 3.0-16.1)は防げることが分かった。さらにその値は、ロンドンでは30.3%(95%CI 15.2-40.0)、アムステルダムでは50.3%(95%CI 27.4-66.0)まで増加した。調整済み精神疾患発症率は高濃度大麻の使用(r=0.7, p=0.0286)および、日々の使用(r=0.8, p=0.0109)と正の方向に相関していた。

 

Conslusion

日々の大麻使用および高濃度大麻の使用の頻度の違いは、11の調査地においては精神疾患の発症率の分布差に影響していた。高濃度大麻がますます使用可能になっていることを鑑みれば、この結果はpublic healthにとって重要な示唆を持っている。 

 

 

感想

Case controlに関する質の高い論文を探していたところ、冒頭に書いたように今村先生がご紹介くださったのがこちらの1本。

Modern Epidemiologyを読み、case controlにおけるmatchingには非常に制約が大きいことが分かり、「んなこと言ったって、じゃあどうやってmatchingしたらいいのさ!」と混乱していたところだったので、大変勉強になった。

有料論文であるため、本文中のmatching方法には触れないが、通常のmatchingを行った後に、とある方法でその妥当性を向上させようとしており、「なるほどこういうやり方があるのか」と。

 

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