抹消カテーテルの定期交換と臨床的に必要な時のみの交換 ランダム化比較試験

 

 

”エビデンス”シリーズでは看護系の論文を紹介しています。

有料論文においては、無料で閲覧できる範囲(Abstract)の紹介に留めております。そのため、このブログを読んでも研究の全貌を知ることはできません。Abstractのみを読んで研究の結果を解釈することはできませんので、ご興味のある研究があった際には、ぜひ下記のリンクから論文が掲載されたサイトを訪問することをお勧めいたします(有料論文を見るためには契約が必要です)。

 

 

論文の概要

論文

Routine versus clinically indicated replacement of peripheral intravenous catheters: a randomised controlled equivalence trial

Lancet. 2012 Sep 22;380(9847):1066-74. doi: 10.1016/S0140-6736(12)61082-4.

 

Research question

抹消カテーテルを臨床的に必要な時のみに交換したとしても、定期交換と同等のベネフィットが得られるのではないか?

 

PICO

P:2008年5月20日から2009年9月9日の間にオーストラリアのクイーンズランドの3病院に入院し、4日以上の抹消カテーテル留置が予測された18歳以上の患者3283人。

I:臨床的に必要な時のみに抹消カテーテルを交換

C:定期的に抹消カテーテルを交換

O:カテーテル留置中もしくは除去48時間以内の静脈炎、カテーテル関連血流感染症もしくは局所感染症、全ての血流感染症、カテーテルチップへの細菌発生、輸液漏れ、使用されたカテーテル数、治療期間、死亡率、コスト。

 

 

スポンサーリンク

広告

Abstract

Introduction

年間数百万件も使用されている抹消カテーテルであるが、成人においては72-96時間ごとの交換が推奨されている。しかし、抹消カテーテルを定期交換することの有効性は証明されていない。我々は臨床的に必要な時のみに抹消カテーテルを交換したとしても、定期交換と同じ程度のベネフィットがあると仮定した。

 

Method

本研究は多施設の非盲検ランダム化同一性比較試験である。2008年5月20日から2009年9月9日の間にオーストラリアのクイーンズランドの3病院に入院し、4日以上の抹消カテーテル留置が予測された18歳以上の患者を対象とした。

コンピューターにより患者を⑴臨床的に必要な時のみの抹消カテーテル交換、⑵3日ごとの抹消カテーテル交換の2群に割り付けた(病院ごと層別化、非ブロック法での隠ぺい化1:1割り付けである)。介入の性質上、割り付けは患者、臨床スタッフ、リサーチナースに対してマスクすることはできなかった。

メインのアウトカムはカテーテル留置中もしくは除去48時間以内の静脈炎であり、サブアウトカムとしてはカテーテル関連血流感染症もしくは局所感染症、全ての血流感染症、カテーテルチップへの細菌発生、輸液漏れ、使用されたカテーテル数、治療期間、死亡率、コストが測定された。

 

Result

3283人の患者全員のデータ(使用カテーテル数は5907本)が解析に使用された(1593人が臨床的に必要時の交換、1690人が定期交換)。

カテーテルの平均留置時間は必要時交換群で99時間(SD 54時間)であり、定期交換群で70時間(SD 13時間)であった。静脈炎は必要時交換群で1593人中114人に発生し(7%)、定期交換群で1690人中114人(7%)で発生した。絶対リスク差は0.41% (95%CI -1.33-2.15)である。この絶対リスク差は事前に想定していた同等区間である3%内に収まっている。本研究の介入において、深刻な有害事象は発生しなかった。

 

Conclusion

抹消カテーテルは定期交換ではなく、臨床的に必要な時に交換することができる。頻回のカテーテル交換は患者満足度を低下させ、また医療資源やスタッフの労働量においてかなりのコストをかけることになるが、この方針により、数百万のカテーテル挿入を防ぐことができる。綿密なモニタリングを継続し、そしてカテーテル治療は適切なタイミングで中止され、適切に合併症が予防されるべきである。

 

 

感想

看護師であれば一度は疑問に思ったであろう「3日おきの抹消カテーテルの交換ってほんとにいるの?」というリサーチクエスチョンに応えるために行われたRCTである。

本研究の結論では、「別に必要時の交換のみでも静脈炎は増えないし、使用カテーテル数も減るし、スタッフの仕事量減るし、患者負担も減るでしょ」という、看護師の直感に反しないものとなっている(少なくとも私は本研究の結論には説得力を感じる)。

類似の研究は過去にも複数例行われており、ちょうど今年にCochraneがsystematic reviewを出版しているので、気になる方はご覧になると良いと思う。

広告