認知機能障害は入院患者の治療成績に独立して関連しているか? 後ろ向きコホート研究

 

 

 

研究の概要

論文

Cognitive impairment is independently associated with mortality, extended hospital stays and early readmission of older people with emergency hospital admissions: A retrospective cohort study

International journal of Nursing Studies, volume 96, August 2019, Pages 1-8

 

Research question

認知機能障害がある患者は、ない患者と比べて入院中及び退院後の治療成績が悪化するかどうか?

 

PECO

P:イギリスの1病院に緊急入院した75歳以上の患者

E:認知機能障害がある

C:認知機能障害がない

O:在院死亡、在院死亡および退院後30日以内死亡、在院日数、退院後30日以内再入院

 

 

Abstract

Introduction

入院した高齢患者はしばしば認知機能障害を被っていることがある。認知機能障害があることにより、患者の治療成績がさらに悪化するかどうかということは明らかになっていない。

 

Method

医療データベースを用いた後ろ向きコホート研究である。
対象者はイギリスの1病院に緊急入院した75歳以上の患者21,399人。
暴露は⑴認知症の診断がついた認知機能障害、⑵認知症の診断がつかない認知機能障害、⑶認知機能障害なし、の3パターンにカテゴライズした。共変量には年齢、疾患重症度、主たる診断、併存疾患、栄誉状態を投入し、多変量ロジスティック回帰およびFine and Gray competing risks survival modelsを用いて解析した。

 

Resul

認知機能障害がある患者では(認知症あり、なしの双方において)、ない患者比較して統計学的に有意に在院死亡、在院死亡および退院後30日以内死亡、退院後30日以内再入院のオッズ比が高く、また在院日数が長かった。

 

Conclusion

認知機能障害は緊急入院した高齢患者における治療成績の悪化と有意に関連していた。今後の研究はどのようなメカニズムがこのような結果に関連したのかを明らかにするべきである。

 

 

感想

認知機能障害がある患者とない患者では、前者の方が疾患重症度や年齢が高い可能性があり、そのため3群のあいだの患者背景にバラツキがあることが懸念される(多変量解析で調整は試みていたが)。

また、患者の基礎疾患がばらばらであるため、母集団に対するイメージが抱きにくい。

私自身の臨床経験としては、認知症があることで治療に対するコンピテンシーが低下し、尿路感染症や院内肺炎の発症や、臥床時間の延長によるADL低下、退院先の受け入れ困難による在院日数増加などが生じることは納得感があるが、果たして認知機能障害そのものが患者の在院死亡リスクを増加させうるかというと、直観に当てはまるとは感じがたい。

また、データベース研究では診断の妥当性が大きなポイントになるが、イギリスのデータベースにおける認知症診断の妥当性はどれほどのものだろうか。

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